フィギュアスケートは少女しか出来ないスポーツではない!
今回はフィギュアスケートは少女だけのスポーツではないとする理由についてお伝えしていきます。
昨季はコストルナヤ、シェルバコワ、トルソワ選手といった若い選手がジュニアからシニアへと上がるやいなや、グランプリファイナルの表彰台を独占しました。
少し振り返れば1年前の世界選手権で優勝したのは、3人と同じコーチの門下生であるアリーナ・ザギトワ選手でした。しかし、そのザギトワ選手は昨年に活動休止を表明しています。たったの1年で女子スケート界勢力図は変わってしまったのです。
2019シーズンを振り返るといろんなことがありました。女子の低年齢化を危ぶむ報道や声が数多く挙がりました。シニアに上がりたての15、16歳の選手達がグランプリシリーズに席巻する一方で、17歳ザギトワ選手が休養に追い込まれます。この出来事が早すぎる世代交代について議論を巻き起こしました。
「女子フィギュアは子供にしか出来ないスポーツなんだね」
このような意見が根強いのは確かです。しかしザギトワ選手は競技に戻ると明言しており引退ではありません。
現に15歳前後の選手が勝ち続けているのも事実です。4回転時代に入り、トリプルアクセルを跳ぶ選手も増えてきました。年を重ねるほどジャンプをとぶのが難しくなります。
それでも女子フィギュアスケート界は少女にしか出来ないスポーツではありません。
女子の低年齢化問題は30年以上前から実はありました。1988年長野五輪で金メダルに輝いた15歳のタラ・リピンスキー選手です。当時は高難度とされた3-3の連続ジャンプを決め、ミシェル・クワン選手を破ったのです。
現在の女子フィギュアを30年前に当てはめることは出来ませんが、ジャンプを重視すると成熟した演技を排除する一面は今も変わらずあると思います。
このように低年齢化するのは昔からあった問題で4回転時代になり、さらに顕著になりました。対策としてシニアに上がる年齢を引き上げる案や芸術点の比率を見直す案が検討されているようです。
一方で、成熟した大人でもフィギュアスケートができることは歴史が証明しています。荒川静香さんは24歳で金メダルをとり、ソチ五輪銅メダリストのカロリーナ・コストナー選手は30歳を過ぎても第一線で現役を続けています。
もう一つ。フィギュアスケートはスポーツでありますが、スポーツだけではないということです。年齢を重ねることで積み上げていけるものがあることです。浅田真央さんのソチ五輪のフリーの演技の時のように。ミシェル・クワンさんはリピンスキーに破れた4年後、再び金メダルに挑んだソルトレイク五輪の演技のように。
ベテラン選手ならではの洗練された技術力や円熟味に魅了されると同時に、フィギュアスケート人生が長くなるほど、その分ファンが共有する物語も大きくなります。
スポーツではあるけれど、スポーツだけではないということや少女からです大人へと成長する過程に寄り添いながら、どのように重力に逆らってジャンプを跳ぶのか、正解のない表現力をどう磨いていくのか、フィギュアスケートはそのような複雑な問いに挑むスポーツだと感じます。
トゥクタミシェワ選手やメドベデワ選手などのロシアのベテラン選手も現れてきているので嬉しいです。ますます応援したいです。
今回は以上です。ありがとうございます。